邂逅萌芽


[14]性質C


…やだ、録られてる。

今までも十分に恥ずかしい行動ではあるが、漏らしてしまうのはそれ以上。


でも、もう。おしっこ漏れちゃうよぉ…。


「由香、もうダメか?」

「…っうん、もう無理!だから、お願い」

「分かった。じゃあ30秒数えたらトイレへ移動させてあげよう。ただし……」

「うん、うん、分かった。30秒ね?数えるから数えるから!」


ぐっと更に両足をくっつける。さらに、お腹に圧力がかからない程度に前屈し、上からも尿道を締め付ける。

大丈夫、30秒ならなんとかなる。

「いーち、にぃー、さーん…………………」

冷汗が垂れた。
初めのうちは良かったが、20を越えると声をだすのも響くようになったからだ。

「にじゅうなな……にじゅうはち…んっ…あ、ダメっ!」

ググッと全力でふんばる。
…まさに危機一髪。いや、実際にはちょろっと出てしまったのだけれど…。
漏らしてしまわなかっただけ良しとしよう。

「にじゅく…、さんじゅう!」

言い切った、ようやく言い切った。
こんなに長い30秒は初めてかもしれない。
息だって、はぁはぁと切れている。

「は、や、早く」

もう、数秒と持たないかもしれない。
私の下腹部は悲鳴を上げていた。

もう、本当早くしないと……漏れちゃうよぉ。



「ダーメ」


一言。
そして、幻夢は嘲笑うかのようにゆっくりと続けた。

「ただしの後聞いて無かったじゃん。ダメだよ由香、人の話は最後まで聞かなくちゃ。良いかい、もう一度だけチャンスを上げる。さっきの続きを言うよ」

もう、どうやって我慢しているのかすら謎だった。

限界…。

………けれど…。


「ただし、10秒毎に自分の名前を言うこと」

30秒、それに自分の名前。それなら…ギリギリ我慢しきれるかもしれない。

はち切れんばかりの膀胱に暗示をかける。


「あぁ、でも由香には話を聞いて無かった罰として、マイナス30からカウントしてもらうから」


笑みを含んだその言葉は、まるで死刑宣告のようにも聞こえた。

けれど、やるしかない。

これしか………もう………。


下着がどこかヒンヤリとしていた。


「まいなすさんじゅう…まいなすにじゅく」


一言一言が重たい。
けれどなんだろう。
これは一体何なのだろう…。


――あぁ、もうダメ。
おしっこが…漏れちゃう…。




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